中小アパレル業者の生き残り策について
ツイート中小のアパレル専門店が減少していますが、この中でも中小のアパレルメーカーやアパレル卸売業は特に厳しい状況にぶつかっています。販売先が減っている中で、生き残る道はあるのでしょうか。
これまで述べてきたように、アパレル業界の全体的な流れとして主流なのが、SPA化で直営店の比率を高める傾向にあります。ただ、中小アパレルにとっては、直営店を出すほどの資金的な余裕はありません。そのため、多くの中小企業が今でも製造卸の仕事で全国に営業に出向き、取引先を探すというのが現状です。何か他の戦略は見つからないものでしょうか。
アパレル専門店が減少しているとは言え、全てなくなってしまったわけではないので、中小アパレルもなくなるということはありません。厳しい状況の中でも生き残っている企業は、自社のオリジナリティを明確に示し、それを商品企画に表現し、消費者から支持を得ている企業などがあり、それらの企業には望みがあるのです。
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例えば、口コミで人気を集めている都内の小さなメーカーがあります。特徴は、以下の通りです。
- 取引目標高は3億円とし、それ以上は伸ばさないという方針をたて、運営をしている。
- 同社の人間力と商品のディテールにこだわる企業哲学が最大の特徴。
- 30代〜40代ミセスに向けて、「エレガンステイスト」のカジュアルアイテムをトータルで企画・製作。
- ほぼ100%インポートの生地を使用し、縫製を徹底的に重視。
- 顧客がまずありきの自由な発想で大量生産はせず、購入されるお客様の心くすぐる商品をつくることを徹底している。
- 同社のデザイナーは、「とにかくお客様の喜ぶ顔が見たい」と、常に接客をしながら感覚にズレがないかどうかを確認し、来シーズンの企画に役立てている。 また、大阪のある雑貨メーカーは次のような特徴があります。
- 国産生地と国内縫製に徹底してこだわっている。
- ベーシックな商品デザインでありながら、国内大手セレクトショップのOEMを請け負い、売上を倍増させている。
これらの企業に見られるのは、「お客様中心のモノ作り」に重点を置くという企業信念を持っているということです。お客様にいかに共感してもらえるかどうかを唯一の判断基準として、アパレルのアイテムを作っているのです。
SPA型は、魅力的なビジネスモデルでメリットもたくさんありますが、高い利益を取れるという背景には、投資と在庫のリスクを抱えているという事実も見逃してはいけません。企業規模により自社の力に応じたやり方を実践することが大事で、規模が小さければ余計、企業の運営形態について考える際にも慎重になるべきでしょう。
すべての企業がSPA化する必要はなく、他社ブランドを製造するOEM型であっても、お客様中心のモノ作りはできます。どのような形態であっても企業として魅力を持つことはできますし、どのようなビジョンを掲げることができるのか、そのビジョンを貫き通すことが生き残る道には必要なのです。
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