アパレル業界のM&Aについて
ツイート日本のアパレル業界で今まで見られなることの少なかった企業の合併や買収がここにきて増えており、今一番のトレンドとなっています。M&Aの実態と今後の行方を見ていきます。
現在のアパレル業界の経営戦略のテーマは、@M&Aによる企業規模の拡大、Aグループ力の強化の二つが大きく取り上げられます。
イタリアでは、毎年100件以上のM&Aが当たり前のように起こっていますが、それは企業を残すという発想以上に、伝統や技術といった目に見えない資産を次世代に受け継ぐために行われているというのが実態のようです。
日本のアパレル業界では、2005年頃からM&Aが本格化しました。日本においては、インターネットなどのベンチャー企業同士のM&Aが注目されていた傾向にありましたが、徐々にその波は他の業界に広がるようになり、今ではアパレル業界の従来M&Aなど行われていなかった守りの業界にも実施され始めたのです。
日本でのM&Aは、2005年〜2007年まで年間2700件のペースで増加しており、そのうち小売全般で100件程、繊維関係は10件〜30件という内訳です。しかし、2007年には、渋谷109や駅ビルで圧倒的な人気を誇っていたクレッジ社(JiMaxx)やバロックジャパン社(マウジー)、ヴェント社(リズリサ)などが次々と外資系証券会社の出資を受け入れるという企業が出てきたのです。
出資する方は、アパレル業界の作り出す付加価値を認め、大きな希望を抱き、「投資対効果」が今後確実に上がると予測し、この業界を注目しています。また、出資される企業は、業績は好調なものの、世界進出やさらなる成長を見据えてパートナーを探した結果、出資を受け入れる状況となっています。日本のアパレル業界はM&Aという新たな戦略で成長しようとしています。
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プライベートブランドが流行する
小売業をとりまく課題で、構造的な質の問題があります。それは、扱う商品の他製品との差別化が失われていき同質化していることと利益性の低さの問題です。特に百貨店やGMSの平均粗利率は20%台という低さです。そこで、各小売業は、この低い粗利体質を改善しようとPB商品の開発に力を入れているところです。
小売業全体では、昨今、PB(自主企画開発商品)の開発に力を入れています。これまで、PB開発に力を入れてこなかった企業も残らずPB開発を進め、そういった商品を扱うことで、総売り上げに占めるPB比率を上げようとしているのです。
アメリカのディスカウントストア(ウォルマートなど)の影響で、これまでは価格訴求型でPBを作る傾向が大きくありました。アメリカでは、ウォルマートのような大きな企業が、低所得層の人々が多く住む地域に出店することが多かったため、安くて標準以上の商品を買いたいという人々の要求に合わせたPB商品開発がなされてきたという背景があります。
そのため、日本もこの影響を受け、当初は価格訴求型のPB開発が多くされてきました。しかし、日本の消費者は異なったニーズを持っていたのです。つまり、日本の消費者は安全で安心、信頼できる商品を買いたいという商品を求めていたのです。
低価格志向で作られたPBは、日本ではなかなか市場に広まることはなかったのです。そこで登場したのが、高付加価値型の考え方で、この考え方をもとにしたPB商品作りが始まりました。
下記がその例です。
イオン
「トップバリュ」のネーミングで、衣食住で3600品目。年間4500億円。イオンの主力PBとなっている。
セブン&アイ
「セブンプレミアム」で4000億円ほどの売上。衣料品のPB比率は3割程度まで上がる。
百貨店 伊勢丹
「オンリーアイ」1993年9月から展開を始めている。
百貨店 JFR(大丸)
「カスタマーズビュー」このようなPB商品を扱うことで従来の粗利の低い構造から脱却しようとしたり、百貨店でもお客様の要望に基づいた商品を開発しようとした動きが盛んに起きています。今後は、売り手主体のPB商品開発ではなく、顧客発想のPB開発でないと市場に浸透していくのは難しいでしょう。
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